シンガーとしての天地真理を再評価

天地真理っていうと、1970年代当初一世を風靡した歌手で、最初のアイドル歌手なんて言われていて、それこそ小さな子からお年寄りまでほぼパーフェクトなファン層を誇るまさにスーパーアイドルでした。
現在の200人からメンバーがいるAKB48グループが500人でも1000人でもかなわないほどの知名度と人気でした。

で、ちょうど流行っていた頃、お正月に私の家にクラスの何人かが集まって新年会をしたのですが、このときちょうど友達から借りていた天地真理のレコードを掛けたら、Hちゃんって女の子がファンだそうで、
「わたし、天地真理ちゃんの声大好き。」
とうっとりして聞いてましたが、
「あまり歌うまくないよ」って突っ込んだら
「フォークを歌わせたらすごくうまいよ」っていう。

この日のこの会話を今だに良く覚えていて、そのせいで「天地真理はフォークがうまい」って刷り込みがあるのかも知れません。
でもね、本当にうまいのですよ。ある意味とんでもない歌唱力かもしれないのですよ。本当にフォークを歌わせると絶品ですよ。

当時は洋楽ばかり聴いていたので日本のフォークに疎くて、好きだった女の子に話を合わせるために「フォークを聞いているフリ」をしていたのですが、だって高田渡とか高石友也とか加川良とか遠藤賢司とかはどうしてもいいと思えなかったし。なので実は聞いていたのは「天地真理によるフォークのカヴァー」だったりします。
ところがテレビで天地真理を見た記憶があまりないのです。紅白ぐらいは見たかな、なんですが、紅白では天地真理の「雑な歌い方」がとっても残念だったのを覚えています。

天地真理の声の良さは独特なファルセットで、専門家的には「クラシック声楽系ファルセット」らしく、ぽっちゃり系で癒し系な声質なんですが、松田聖子のキャンディボイスと同じくらいと言っていいほどしっかりとしたキャラクターを持っている声だと思います。

ごく最近YouTubeで天地真理の「地声」曲を聴いて、そのすごさにビビリました。ちゃんとコブシとか使いこなせていたのですね。いままで何百回と天地真理の曲を聴いてきたけどこんなの初めてってことで、自分がファンであることに気づいてしまった感じです。
その曲というのが、テレビ番組で歌った「赤ちょうちん」って曲なのですが、録音状態はあまりよくないものの、地声でもかなりの歌唱力であることがわかります。

天地真理は、デビューが20才過ぎでアイドル歌手としては当時としても既にかなり「高齢」だったのですが、幅広いファンに愛されたけど、「空いっぱいの幸せ」あたりから、また幸せの歌かよって飽きられてきます。ちょうどそのころアグネス・チャンとか桜田淳子とか「若い」アイドルが登場してだんだんシェアを奪われます。

本来ならこの時点で、イメージチェンジして、ロックとかフォークの「アーティスト系」にシフトすれば、また別の魅力が出せたと思うのですが、渡辺プロダクションとかソニーがまだまだ稼げるって路線変更しなかったのが仇になったようです。
それより、天地真理はこうでなきゃっていう「天地真理」という名前がそうさせなかったのかも知れません。
なんか「フォークの神様」というネームバリューの為に、音楽性を変えられなかった、変えることが許されなかった岡林信康に似ている気がします。

村井邦彦あたりにプロデュースしてもらって、いっそのこと本名の「斉藤真理」として再デビューして、荒井由実やシュガーベイブ、はっぴんえんど系に近づいたらひとつの文化になったような気がします。吉田美奈子を超えるシンガーになれた可能性が高いと思います。

そう考えると、幻と言われるライブアルバム2種をどうしても聞きたくなって「天地真理 プレミアム・ボックス」を購入してしまいました。このCDボックスは、デジタルリマスター版だし、2万2千円を出して購入した価値は十分あります。

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両方とも自分のライブなので、緊張もあるのかテレビのステージとは全然ちがう丁寧さで歌っています。もちろん「地声」の曲もあって貴重です。

特に「私は天地真理」での歌唱力はとんでもなく、歌手として間違いなくA級と言えます。
このライブ版は、病気による休業という「事実上の引退」の少し前の収録なんですが、よくぞこの音源を残しておいてくれたというほど貴重。彼女の歌う「なごり雪」の透明感は、他の歌手では無理。これをスタジオ収録ではなくステージライブで歌える実力は大変なものです。

こういうのを聴くと天地真理にはもっとたくさんカヴァー曲を歌って欲しかったと思います。
荒井由実の卒業写真やルージュの伝言を含む「COBALT HOUR」の全曲を歌ってくれたらどんなにすばらしかったことか。

天地真理を、日本を代表するポピュラー歌手のひとりとして再評価したいと思います。

ところが最近は珍しくテレビに登場したかと思えば、ぶくぶく太ったおばさんの天地真理に「恋する夏の日」を歌わせてバラエティ的な笑いを取っていますが、これはとても残念。以前「当時の天地真理とは別の生き物」って書いたのですが、こんなのではなく、あのストイックな番組である「ミュージック・フェア」あたりで、今の天地真理でいいから「なごり雪」をまじめに歌って欲しいものです。
それで、そのできが良くて彼女の歌唱力に気づけば、遅すぎたかも知れないけど「新しい魅力をもつ天地真理」が生まれるかも知れません。

※明日6月1日に、新宿角筈区民ホールで天地真理のスクリーンコンサートがあるそうです。3回上演して、最初の2回は天地真理ご本人の舞台挨拶があるそうで貴重です。
行ってみたい気もするのですがちょっと遠いかなあと。ライブで歌ってくれるなら文句なしで出かけますが。

【今日の言葉】 もう一人の天才シンガーに弘田三枝子がいるのですが、天地真理は負けてないです

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No title

 先日こちらの記事についてのツイートをリツイートさせていただいた者です。天地真理スクリーンコンサートについての“いくらかのご報告”に伺いました。公演はライブ「私は天地真理」のCD16曲の音源を流しながら、それに各場面の写真の映写が付きました。そのあと「真理 WONDERFUL SONGS HEART & LOVELY」と称したコーナーで6曲が会場に流れました。6曲のうち3曲はファンによるリクエスト曲、残りの3曲は天地さんが選んだものです。(公演が3回あり、天地さんは都合9曲を選んだのだろうと思います。このように天地さんのイベントは心がこめられます。)司会はFM軽井沢「天地真理ミュージックコレクション」のパーソナリティの穂志野弓子さん。
 天地さんはファンの一人一人と丁寧に挨拶を交わし、驚くべき誠実さです。こうしたところに芸能の実力の源があるように思います。

 ライブを聞いていると、1曲1曲趣旨の違う曲をよくこれだけ聞く人を飽きさせずに歌えるなと思いますが、CDに入っていない他の曲も実際には歌っているわけで……大変な力だと思います。
 このライブは休業の何か月か前のものですね。疲れていても頑張って残してくれたのでしょうか。私は「夏を忘れた海」のピアノの弾き語りの演奏と歌唱がどちらもしっかりしているところに驚いています。本当に弾き語りだろうかと思っていたほどです。このことに触れる話がファンの間で聞かれないのは同年代にピアノを弾ける人があまりいないせいかと考えます。
 
 尚、私が天地さんの歌唱について最も驚くのは声楽をやっていた人がこれだけポップスを歌えたことです。デビュー当時から解けない謎でした。間にフォークソングが入ったことを思うと少しわかるような気はするものの、発声に関して特別なものを持っていたのかもしれないとこの頃は思います。
 それから、デビューは20歳になる年ですが、その日は19歳でした。

 最後に、映画「虹をわたって」などの中で聞く歌も圧倒されるものがあります。次の催しをお楽しみに、と思います。

Re: No title

春光さん、初めまして。
コメントとコンサートのご報告をいただきありがとうございます。

天地真理さんのファンを大切にする誠実さに驚かれたとのことで、それを知ってとてもうれしいというか安心しました。
今回ブログでシンガーとしての実力を再評価させていただきましたが、天地真理さんご本人の誠実さを知ってより応援したくなりました。
私なんかは、LP数枚と今回購入したCDボックスを持っているだけで、ファンと呼べるほどの存在ではないのですが、できる限り応援したいと思います。

今回のコンサートには、ご本人の舞台挨拶と、ライブ当日の未公開スチル写真があるとのことで、滅多にないチャンスなので是非見たかったのですが行くことができませんでした。
ただ、春光さんのご報告では大盛況とのことなので、今後も同様な企画が行われることを信じて待つことにします。

驚くべきは40年以上ファンを続けてらっしゃる方が大勢いると言うことで、天地真理さんには財産でしょう。
ファンがいる限りはそれに応えていきたいっていうご本人の誠実さがある限りはまだまだ大丈夫と思います。

ファンの選曲1位が「あのすばらしい愛をもう一度」と聞きましたが、正直びっくりしています。
選曲もさることながあら、この曲は最初のアルバムに入っていた曲で、この頃からすでにフォークを歌いこなしていたっていう事実に驚くわけです。もっと早く彼女の「天才」に気付くべきだったと今更ですが思うわけです。
このアルバムの「悲しき天使」も絶品で、この曲を歌えるアイドルは天地真理さんだけだと当時も言われていた気がします。それほど「大人の歌」だったから。
・・・・なんて、熱く語りそうになる自分を抑えておきましょう(^o^)

その昔映画も大好きだったので、「愛ってなんだろ」とか「虹をわたって」とか見た覚えがあります。ただナベプロで作った映画ということがバレバレでクオリティ的にはあまり高くなかったような。

今後も何らかの形で天地真理さんを応援して行きたいと思いますので、よろしくお願いします。
もちろん、次の催しがあれば是非参加したいと思います。

それでは。

※昔の天地真理さんのムック本がどこかにあるはずなので、もし見つけたらブログで紹介したいと思います。


プロフィール

ざがあと

Author:ざがあと
クルマを買い換えてからクルマの話題が多いのですが、本来のアイドル系やテレビ、PCの話題も根強く続けています。
って、本当はアドビイラストレータのイラストを中心にするはずだったのですが、それはそのうちぼちぼち。
プジョーの話題が多いですが、その他の話題も楽しんでいってください。

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